人工知能があなたを会社から追い出す社会

投稿日:2019年04月15日 08時15分54秒

覚悟して迎えよ!目前に迫る人工知能社会を一読した。先日のエントリープログラマは不要になるでも少し触れたがこの中で記載されている情報分類はちょうど20年前ほどに仕事として実装したもの文書分類と同様のものだ。
作成したのはテンプレートを幾つか選び、新規に入力された文書がどの文書に近いのか分類するものだった。一旦文字データに置き換えば文書の相関はキーワードの近似、上位概念としての理念の近似等多層構造にマッピングした上で距離を算出すればすむことでそれほど難易度が高いものではないと思う。
人工知能を生業としてやっている人間としては何を今更という感が強いのではないだろうか。当時の認識としては技術としては可能だがどのような分野に活かすのか?というニーズ不足が問題だった。その当時はむしろ情報不足であり、検索技術がよく売れた。現在情報過多な社会ではニーズが生まれてきている。検索の時代から分類の時代への変換点なのだと思う。
ただし今回の仕組みはIBMのワトソンなどをベースとしたものでディープラーニングを元にしているのが目新しい。あのころのニューロ技術者はホゾを噛んでることだろう。
このような自動化技術でホワイトカラーの多くは職を失う可能性がある。例えば税理士や事務職などはかなり危うい。すでに人工知能を待たずして銀行への記帳を情報として仕分けを展開するクラウドサービス等もでている。人工知能は単なるセールストークに過ぎない面がある。ディープラーニングをベースとして使う場合、その根拠説明するのが機械自体には難しいので今しばらく模索が続くだろうが概ね機械化の方向は進むだろう。
記事では人間はアイデアを生み出す等の創造的分野に限れば良いと書かれているが、これが間違ってるのではないかというのが今回は主張したい。
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弊社では仕事にならないので数多くは扱ってないが、こっそり人工知能は使っている。過去に弊社ではゲームを作成していたがその画像圧縮ルーチンは人工知能が設計したものだ。そこそこの売上があったそのゲームユーザは知らずして人工知能の生み出した産物を楽しんでいたわけだ。
自社には当然プログラムの設計等を行う業務があるが、概ねインターネットで調べれば大抵の問題には答えがある。大問題を小問題に分割して統治するという手法は人工知能の基本的コンセプトであり小問題はネット検索で解決可能だ。よって設計分野が人間がやるべき作業であるというは楽観的すぎると考える。
この一環として現在設計業務を支援するソフトを構築している。プログラミングから人間のやるべき業務が基本設計に移ってきているが基本設計にプログラマの知見が必要となるだろうと前回書いた。これらの知見は文字データとして記述できるのであれば人工知能の範囲内である。
ALM(Application Lifecycle Management)というジャンルがあり、日本ではあまり導入されてないが五月雨にTracやRedMine,SVN,GitHUBなどの支援は受けている。さらにIBMのDOORSなどの構築支援はツールでしかないが、まさに前述のテキスト分類など人工知能が役立つ分野である。
これらは企業支援があればすぐにでもツールとして市場となりうる部分であろう。
弊社ではマンパワーがないので遅々とはしているが基本部分等を開発している。
もしそれが開発された場合どのような工程になるだろうか。
まずステークホルダーから要件が提示される。これをコンピュータが取り込み分割統治アルゴリズムにそって小問題に分割する。ここでは過去の作業のうち近似のプロジェクトから一部をコピーしてくることになる。プロジェクトは日本語等の一般知識と業務知識に分けて辞書が構築されているだろう。よって業務辞書などはあらかた完成形でインポートされてくる。SEは不足しているスロットについてヒアリングを行い補足する。場合によっては過去のプロジェクトがソースのみの場合もある。これに関してもソースの近似度などから有用なソースが選択される。そこから基本仕様が作成される。要件の差異や変更により影響する範囲は自動的に明示され変更を促される。この作業がまさに現在SEが行っているものだが、膨大な資料を逐次参照するSEと全てを無限の時間で解析するコンピュータとで信頼性はどちらにあがるだろうか。まだまだコンピュータには出来ないことがおおいと思うなかれ。近い将来にプログラムの開発のチームリーダは機械となる確率は低くないと思われる。
これらの変化はスカイネットのように人類の脅威になるのだろうか。答えはYESである。すでにコンピュータによって駆逐された業種は多い。これは当然ながらコストの観点からである。かつて工作機械は手作業の旋盤であったが今やNC工作機をも超えてロボットが一貫生産する時代だ。あなたのiPhoneのケースはFanacが一つ一つ小型ロボットを使い削りだしている。これは人間には無理な作業である。同様にプログラム作成の分野においても積算コスト、プログラム技術、工程管理(進捗管理)、プログラムのトレーサビリティ等人力で管理できる人間のコストは膨大であり、機械化によって多大なメリットが得られる。しかも決してセキュリティ違反をしない。これらのメリットの有無は各企業に任せるとしても採用した企業とそうでない企業のコスト競争がどうなるかは明白であろう。

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